2020.7

2020.7 · 7月 25日, 2020年
またまた前回の続きです。さらに障害の種類や重さ、症状は個人差があり、本当に千差万別です。しかも、たとえ認知症につながる病気になっても、症状の進行度合いは人によって違うし、生活に支障がない範囲であれば「認知症」とは診断されないのです。認知症の判断基準になっている「長谷川式認知症スケール」を作成し、2018年に自らも認知症であることを告白した精神科医の長谷川和夫先生(90歳)は、「認知症にならないのは1割しかいない。超エリートなんだよ」と仰っています。ご自身が嗜銀顆粒性(しぎんかりゅうせい)認知症になってからは、「認知症になって人が変わるわけではない。『いつもの自分だ。大丈夫だ』と思えるときがある。認知症になっても、すべてなくなるわけじゃない。認知症は変動する。これほどまでにいい時があるとは、自分がなるまで分からなかった」と。また、認知症を発症したことについて、「年を取ったんだから仕方ない」と悠然と答えているそうです。長年、老年精神医学に取り組んできたことで、認知症についてよく理解していることが、これからも自分が役に立つことをやろうという豊かな生き方につながっているように思えてなりません。
2020.7 · 7月 18日, 2020年
前回からの続きです。ちょっとでも疲れると、ますます認知機能は低下するし、高齢になると思い込みも激しくなるようで。周りがせかすと焦り、余計にできなくなったりすることもあります。つまるところ、「見えづらい、聞こえづらい、忘れやすい、勘違いしやすい、覚えられない、思い込みが激しくなる」という現実の繰り返しが老いることです。ところが、高齢者のこういった言動は、すぐ「認知症」に直結させられてしまうんです。レッテル貼りすると楽だから。この短絡的な解釈が、どれだけ高齢者やその家族を生きづらくしていることか…。そもそも「認知症=病気」ではありません。「認知症=何もできない」わけでもないです。 認知症とは、「物忘れや認知機能の低下が起こり、日常生活に支障をきたしている状態」です。例えば、頭痛がさまざまな病気で引き起こされるように、認知機能の低下にも多種多様の原因があります。アルツハイマー病やレビー小体症などが認知症につながるとされているけど、その原因はすべて数えると70種類以上にもなるし原因が特定できない場合もあります。あー文字数制限が恨めしい。またまた次回。
2020.7 · 7月 11日, 2020年
介護は元気な中年でも、精神的にも肉体的にも負担が大きいし、はたからはどんなに元気で、しっかりしているように見える人でも、年齢には勝てないです。老いには個人差がありますが、誰もが例外なく老いることは間違いありません。それは「昨日までできていたことができなくなる」というリアルです。年を取っていく親と日常頻繁に接している方は「年を取るって、大変なことなんだなぁ」とつくづく思うことでしょう。視力一つ取ってみても、視野が狭くなる、色の識別が難しくなる、明るいところから暗いところに入ると見えなくなるといった自然な老いに加え、緑内障になると視野の一部が欠けるため、足元が見えづらくなったりもするんです。聴力の低下というと、単純に「耳が聞こえない」状態をイメージするかもしれないけれど、通常の聴力がある高齢者でも「初めて話す人」の話や、外出して緊張していると聞こえづらくなるケースも。「転ばないようにしなきゃ!」と歩くことに集中するあまり、車の音さえ耳に入らなくなる方も。どんなに気持ちが元気な高齢者でも、体力と認知機能の低下から逃れるのはムリです。次回に続きます。